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サイレントワールド

第6章 ENDING

次の日。随分久しぶりに思える「行ってらっしゃい」の声を聞きながら学校に向かう。
(翔…。)
朝の笑い声が飛び交う通学路をトボトボ歩く。
すると、
「おっはよー!」
ドンッという衝撃と共に背中を叩かれる。
(いっ…!!誰だよ!?)
声が出ないのも忘れて文句を言ってやろうと後ろを振り向く。
そこには
「朝から浮かない顔してるねぇ!もしかして彼女に振られたとか…?」
やけに騒々しい女子がいた。
(…んー。)
なかなかの美人であるために一度見たらそうそう忘れないと思うのだが…。
(こいつ誰だっけ…?)
頭を捻っているとまわりからジロジロ見られていることに気づく。
(まぁこの状況じゃカップルに見られてもしょうがないか…。)
ため息をつきながらも周りの話していることを読唇術で探ってみる。
「あれって…J組の今川君と伊川さん?付き合ってたんだ…。…スクープね。」
キラリンと眼鏡を光らせた女子生徒を見てまたしてもため息をつく。
「あー!ため息ばっかついて何かあったの?」
(っ…!?近い!)
こちらにズイッと顔を近づけてきた伊川とかいう女子から慌てて離れる。
それからポケットからメモ用紙とペンを取り出し会話が出来るようにする。
それを見た伊川は少し首を傾げながら話しかけてきた。
「…メモ用紙なんか何に使うの?」
『話すためだよ。』
これだけの文字を1秒とたたずに書き伊川の目の前につきだす。
「それって私と肉声で話したくないってこと!?」
少しトゲトゲしく言ってくる相手に嫌気がさす。
初めの自己紹介の時にちゃんと自分の障害について話したはずなのだが…。
『俺は元々口じゃ話せないんだよ。』
嫌々ながらも相手に見せそのまま学校に向かって早足に歩き出す。
「そっか…。」
そんな声が聞こえチラリと後ろを振り向くと
(笑っている…?)
確認するためにもう一度見ようとするがその時には伊川はもう普通の顔をしていた。
(気のせいか…?)
釈然としない気持ちを抱えながらも未来は学校に向かって歩き出した。

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