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「ふうっ。なんとかなったわね…。」
「ああ…。」
伊川のハッタリで何とか陸地にたどり着くことができた。
だが…。
「なあ。」
「ん？何よ？」
「これからどうするんだ？」
状況は変わらない。
向こうが空を飛んでいる限りダメージを与えるのは難しいと思うのだが…。
「何の考えも無く逃げる訳ないでしょ？ちゃんと考えてあるわよ。」
走りつつも伊川が答える。
「ひとまずあの森の中に隠れるわよ。」
「了解。」
短く答えて森を目指す。
その時あの鳥の絶叫が聞こえてきた。
「私たちがいないことに気づいたみたいね…。急ぐわよ!!」
伊川が急激にスピードをあげる。
「くそっ！」
未来も懸命に走るが伊川との距離が開く。レベルの差がでたのだろう。
それでも懸命に走ってようやく森にたどり着く。
「休憩してる暇は無いみたいね…。」
バサッバサッ
と鳥の羽ばたく音が聞こえる。
「もう近くまで来てるわね…。とりあえずあんたはウチの指示通りに動いて。」
「分かった。」
「じゃあいい？あんたのやることは…。」
誰が聞いてるわけではないが伊川は未来に耳打ちした。
「…それだけか？」
「もちろん可能だったら相手に攻撃もして。恐らくチャンスは一度だけだから。これで決めるわよ。」
「…分かった。」
恐らく伊川は今回で決められなかったら終わりだと言いたいのだろう。
「…そんなに緊張しなくても大丈夫。あんたならできるわよ。」
勇気づけるように伊川が笑う。
「危険な役割を押し付けておいて何言ってんだよ。…お前もちゃんと決めろよ。」
「分かってるわよ。あんな鳥ごとき楽勝よ。…じゃあ時間も無いようだしやるわよ。」
「ああ。」
未来と伊川は別れて走り出した。
…直後闇雉の勝ち誇った雄叫びが聞こえてきた。