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闇雉が見ている画面にはスキル装備選択と書かれていてそこに熟練度スキルに一つだけスキルが装備されていた。
さっき木に剣をぶつけた時に熟練度が上がったのだ。
そのスキルを闇雉の嘴にあてようと剣をひく。
構えは刺突。
未来は全力で突きを放つと同時に叫んだ。
「『ゲイルクラッシュ』!!!」
途端に剣が風を模した水色の光に包まれていく。
バキィッと何かが砕けるような音が響く。
宙に水色の軌跡を残した未来の攻撃は見事に闇雉の嘴に直撃した。
未来の目の前に『clean hit』の文字が浮かぶ。
だがここで予想外の出来事が起きた。
闇雉の嘴が砕け始めたのだ。
もちろん普通なら喜ぶべきことだろう。
何故なら相手は部位欠損ダメージを受けこちらは部位破壊ボーナスとして経験値を多く貰えるのだから。
だが今回は違う。
未来はレベルが低いため攻撃は相手の攻撃の軌道を変え自分は弾かれるだろうと考えていたのだ。
むしろ弾かれないと困る。
何故なら相手の攻撃の軌道を変えるということは相手のバランスを崩すということだからだ。
つまり相手の体がバランスを崩し倒れ込む可能性がある。
そのため未来は弾かれた反動で相手が倒れ込む場所から逃げようとしたのだ。
だが結果として未来は闇雉の嘴を砕くことで闇雉のバランスを崩すと共に自分も大きくバランスを崩してしまったのだ。
『ギャァァァッッ!!!?』
絶叫を迸らせながら闇雉が倒れ込んでくる。
「くそっ！」
未来はようやく体勢を立てなおし闇雉の体から逃れようとする。
だが端から見ても間に合わないことは一目瞭然だった。
そして最悪なことに未来はレベル１。
闇雉の巨体につぶされた場合確実に死が待っている。
(…ここまでか。)
未来は体の力を抜いた。
幸いここでは思い出を奪われることは無いらしいので一度や二度の死は仕方ない。
(…まさかこんなに早く二度目の死を味わうとはな。)
自嘲気味に未来は笑った。
闇雉の巨体が倒れていく―