サイレントワールド
第11章 HUNTER
伊川は泣いていた。
もう未来に泣かせてほしいと懇願する前に。
伊川は気づいていなかったんだろう。
…止まらないのが悲しみでも憎しみでも恨みでも無く涙であることに。
隣で無く伊川の手に触れる。
伊川は手を引っ込めた。
「触ら…ないで…。」
ポロポロと涙を流しながら伊川は切れ切れに呟いた。
「私の…汚れた手に…触らないで…。」
伊川は泣いていてもただ隣にいるだけで未来にすがりつこうとはしなかった。
(…嫌なら泣きたいとかいうんじゃねぇよ…!!)
ぐっと伊川を引き寄せる。
「…!?」
未来の胸のなかで暴れる伊川に呟く。
「…聞きたいことはまだあるけど…とりあえず言いたいことを言う。」
伊川の涙で濡れた目を見る。
「俺はお前のやったことが正しいとは思えない。」
ピタリと伊川の動きが止まる。
未来は構わず言葉を続ける。
「俺みたいに自己防衛で殺してしまった人もいただろうしな。…でも。」
ギュッと腕に力をこめる。
「それでもお前は悪くない。」
伊川が暴れる。
伊川の喉から絶叫が漏れる。
「だめ…!!私はそんなことを言ってもらえちゃいけない…!!」
「何でだ?プレイヤーを襲うPKギルドの奴らを殺したからか?」
「それだけ…じゃないっ!」
息をきらしながらも伊川は叫ぶ。
「私は今川君まで…!!」
「でも。」
「でもも何も関係ない!!私が…私がやったんだ…。悪いのは全部私だよ…。」
なんとなく未来は伊川がこの後何をするかが分かっていた。
だから伊川が鎌で自分の首を斬ろうとしたときも難なく止めることが出来た。
「何で…邪魔するの…?」
未来は伊川の手首を握ったまま黙っている。
その目に怒りが見えることに伊川は気づかない。
「私は…私はみんなを殺した!今川君もおじさんも!だから私は償いにならなくても…!!」
ぐっと手に力を入れ未来を引き剥がす。
「…死ななくちゃ。」
諦め。虚無。
そんな言葉がそのまま顔に張り付いたような表情で伊川は笑った。
鎌が持ち主の血すらも求めて動き出す…。
もう未来に泣かせてほしいと懇願する前に。
伊川は気づいていなかったんだろう。
…止まらないのが悲しみでも憎しみでも恨みでも無く涙であることに。
隣で無く伊川の手に触れる。
伊川は手を引っ込めた。
「触ら…ないで…。」
ポロポロと涙を流しながら伊川は切れ切れに呟いた。
「私の…汚れた手に…触らないで…。」
伊川は泣いていてもただ隣にいるだけで未来にすがりつこうとはしなかった。
(…嫌なら泣きたいとかいうんじゃねぇよ…!!)
ぐっと伊川を引き寄せる。
「…!?」
未来の胸のなかで暴れる伊川に呟く。
「…聞きたいことはまだあるけど…とりあえず言いたいことを言う。」
伊川の涙で濡れた目を見る。
「俺はお前のやったことが正しいとは思えない。」
ピタリと伊川の動きが止まる。
未来は構わず言葉を続ける。
「俺みたいに自己防衛で殺してしまった人もいただろうしな。…でも。」
ギュッと腕に力をこめる。
「それでもお前は悪くない。」
伊川が暴れる。
伊川の喉から絶叫が漏れる。
「だめ…!!私はそんなことを言ってもらえちゃいけない…!!」
「何でだ?プレイヤーを襲うPKギルドの奴らを殺したからか?」
「それだけ…じゃないっ!」
息をきらしながらも伊川は叫ぶ。
「私は今川君まで…!!」
「でも。」
「でもも何も関係ない!!私が…私がやったんだ…。悪いのは全部私だよ…。」
なんとなく未来は伊川がこの後何をするかが分かっていた。
だから伊川が鎌で自分の首を斬ろうとしたときも難なく止めることが出来た。
「何で…邪魔するの…?」
未来は伊川の手首を握ったまま黙っている。
その目に怒りが見えることに伊川は気づかない。
「私は…私はみんなを殺した!今川君もおじさんも!だから私は償いにならなくても…!!」
ぐっと手に力を入れ未来を引き剥がす。
「…死ななくちゃ。」
諦め。虚無。
そんな言葉がそのまま顔に張り付いたような表情で伊川は笑った。
鎌が持ち主の血すらも求めて動き出す…。