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サイレントワールド

第12章 FUTURE MEMORY

「くそっ…。」
ギリッと歯を食いしばる。
左上のゲージを見ると今のダメージでレッドゾーンまで削られてしまっていた。
「大丈夫今川君!?」
「ああ…。悪いな。」
伊川に謝る未来。
「もう人を殺さないってきめたお前の代わりにあいつを斬ってやろうと思ったのに…。」
悔しそうに歯軋りする未来。
『ふん。それはご苦労なことだな。』
いつの間にか水人が目の前まで来ていた。
『勘違いするな。俺は戦いに来た訳じゃない。』
「じゃあ何の用なの。」
『少しばかり取引をしようと思ってな…。』
「取引?」
『ああ。まあ俺が出す条件を達成出来れば海音を解放してやるのもやぶさかでないということだ。』
「母さんを!?」
『ああ。お前が『ハンター』にならない以上あいつにはもう用はない。』
「…で条件って何なんだ?」
『…てっきりお前は反対するかと思ったんだがな。』
水人は未来をからかうように言う。
「お前は信用出来ない。それでも伊川の母さんのためだ。」
『お前には関係の無いことだろ?』
「こいつは俺にこの世界のことをいろいろ教えてくれた恩人だ。それにこいつは俺のパートナーだ。パートナーだけを危険に晒すわけにはいかないだろ。」
『パートナーか…。』
未来を睨みつける。
『凪が消えたのもお前のせいだな…。』
「…凪?」
聞き慣れない名前に戸惑う未来。
伊川のほうを見るが伊川も何の事か分からないという顔をしていた。
『…凪の話は今は関係ないか。まずは取引の話だな。…お前も参加するんだな?』
未来は頷く。
『分かった。ならお前たちにだす条件。それは…。』
水人は説明を始めた。

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