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Gentle rain

第6章 求めあう気持ち

エレベーターを降りても気が重い。

少し歩いては、また戻って。

でも“来るまで待ってるから”と言ってくれた、階堂さんの真剣な顔を思い出すと、後ろ髪を引かれるように振り返って、また彼のいる場所に近づいてしまう。

そして、あのエレベーターの中で聞いた話を思い出しては、また戻って。

そんな事を2、3度繰り返した時だった。

突然、ドアが開いて……

そこには、私を見て動かない階堂さんがいた。

「あの、私……」


どうしよう

どうしよう!

何を言ったらいいのか、わからない。


「バイトが長引いてしまって、階堂さんはもう待ってはいないと思ったのに…」

だけど、来てしまった。

あなたに会いに。

私をいつまでも待っていると言ってくれた、あなたに会いに。

「でも、階堂さんが私が来るまで待ってるって、言ってくれたから…私……」




そう

あの時のあなたの、真っ直ぐで真剣な眼差しが、私をここまで運んでくれたの。

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