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Gentle rain

第6章 求めあう気持ち

「うまくいってないのか?相手と。」

私は返事をする事ができなかった。

だって上手くいくもなにも、その前に私たちは始まっていないのだもの。

「美雨?」

再び心配そうに聞いた兄さんに、もうこれ以上、心配させる事はできないと思った。

「兄さん、私、彼氏なんていないよ。」

「えっ?」

「ただ……思うことがあっただけ。心配しないで。」

兄さんのワインを飲む音が聞こえる。

「片思いなのか?」

「だから、恋愛の事じゃないよ。」

なんとか、兄さんの視点を、私たちから反らしたかった。

「そうか……美雨もそういう年頃になったのかと思ったのにな。」

「そういう年頃って?」

止せばいいのに、ムキになって兄さんをまた困らせた。

「……人を好きになって、相手と真剣に向き合う年頃だよ。」

そして、バカ正直に答える兄さん。

「美雨。俺は、美雨に人並みに恋愛をして、人並みに結婚して、人並みに幸せになってほしいんだ。」

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