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Gentle rain

第6章 求めあう気持ち

「人並に?」

「ああ。」

人並みって何なんだろう。

「私、無理かもしれない。」

「どうして?」

人並みがわからない。

他の人はどんな恋愛をしているの?

どんな人と恋愛するの?

「なあ、美雨。本当は好きな男がいるんだろう?俺にはわかる。」

私は、顔をあげて兄さんを見た。

「いいんだ、片思いでも。いいんだよ、うまくいっていないくても。美雨が幸せなら、俺はそれでいいんだ。」

「兄さん……」

私はその言葉が、何よりも嬉しかった。

兄さんだけは、何があっても私の味方なのだと思えたから。

「だってそうだろう。相手を想う気持ちは、誰にだって止められはしない。無理なんだ、無かったことにするなんて。」

私はなぜか、兄さんが自分の事を語っているような気がした。

「ねえ、兄さん。」

「ん?」

「兄さんも、辛い恋をしているの?」

兄さんもじっと私を見ると、途端に噴き出した。

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