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Gentle rain

第6章 求めあう気持ち

「ええ!?いつから?」

「いつからかなぁ……気づいたら口説いてたからなぁ……」

よくやるわよ。

兄さんみたいな中世的な顔立ちの人に口説かれたら、誰だってコロッと落ちるわよ。

「でも、なかなかうんって言ってくれなくてさ。」

その時、初めて見たかもしれない。

兄さんの切なさそうな顔。

「年下だからなのかなとか、前の上司の息子だからなのかなとか、まだ社会人になって間もないからなのかなとか、いろいろ考えた。」

「兄さん…」

仕事の事も恋愛の事も、一人で悩んでいただなんて。

言ってくれればよかったのに。

と、力になれもしないのに、そんな事を思ってしまった。

「最後は力づくで、うんって言わせた感じ。」

「力づく?」

温厚な兄さんがそこまで?

思ってもみない一面に、兄さんにもそんな情熱的な部分があったのかと驚いた。

「それでもいいんだ。俺には美貴子だけなんだよ。彼女を一生かけて幸せにする。それだけなんだ。」

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