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Gentle rain

第6章 求めあう気持ち

時計を見た店長は、わざわざ私を呼びに来てくれた。

「そろそろ、あがってもいいわよ。」

「いえ、まだ残りがあるので、やっていきます。」

「残りなら私がやるわよ?」

「いいんです!」

生意気に、店長の言葉を撥ね退けた。

「どうしたの?何かあった?」

怒るわけでもなく、返って心配してくれる店長。

「…何も。」

「そう?」


しばらく私をじっと見つめた後、店長は一歩下がった。

「あら?あの人、また来てる。」

店長の一言に、体がビクッと反応する。

「だ、誰ですか?」

「ほら、軒下にいる高そうなスーツを着ている人よ。」

やっぱり店長は、階堂さんの事を言っている。

「ねえ、そう言えばあの人。前、夏目さんにキャンドルをくれた人よね。」


さすが店長。

そんなことまで覚えているんですね。


その台詞が、タイミングの悪い事に、出てこない。

ああ、まるで私がその人を意識しているって、店長に教えているようなものだ。

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