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Gentle rain

第7章 心と体

「それは菜摘さんの考えですか?それとも森川社長の?」

「両方ですわ。」

菜摘さんが耳元の髪を掻き上げると、リングになっているピアスが揺れた。

「私も父も、階堂社長の実力を、高く買わせて頂いているんですよ。」

そう言われると、悪い気はしない。

「わかりました。そう言って頂けて、感謝致します。」

そうお礼を言って、嬉しそうな表情を見せると、菜摘さんはまるで子供を見守るような瞳で俺を見た。

この手の女性は、母性本能が強く、男を育てる能力に長けているのだろう。

これは森川社長に聞いた話なのだが、菜摘さんが付き合っていた男は、交際当初仕事もパッとしないような普通のサラリーマンだったらしい。

それが菜摘さんの励ましが功を奏したのか、支店長の役職まで昇りつめたのだとか。

もちろん、相手の男性の努力もあるだろう。

それと同じくらい、菜摘さんの内助の功もあったのかと、今は思える。

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