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Gentle rain

第7章 心と体

「じゃあ、私はカルボナーラにしようかしら。」

菜摘さんもありきたりと言ったら、傷付くかな。

「なんだか定番ばかりですね。」

菜摘さんはメニュー表で、恥ずかしそうに口元を隠した。

「ははは!意外とこういうお店って、定番メニューが美味かったりしますから。」

これは、俺の持論。

「そうですね。」

そう言って菜摘さんは、たまたま通った店員さんに、声をかけた。

「すみません。タラコとカルボナーラを下さい。」

「ありがとうございます。」

店員さんが去って行った後、菜摘さんはウフフと、笑みを浮かべた。

その時、俺はなぜか自分に罪悪感を持ってしまった。

「菜摘さん。」

「はい。」

目をクリクリさせて、俺の質問を待っている。

「パーティーの後……」

そう。

あのパーティーで、俺と菜摘さんは、暗闇の中キスを交わした。

「メールをしたのに……」

少なくてもあのメールの時点では、お互いの未来に期待していたはずだ。

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