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Gentle rain

第7章 心と体

「いいんです。忘れて頂いて。」

菜摘さんは、陽気に話し始めた。

「別にキスしたからって、付き合っているとは限らない。」

清純な菜摘さんから、想像もできない言葉。

「お互い、30代半ばになれば、そういうこともありますよ。」

菜摘さんは、俺が思うよりも、大人の女性なのかもしれない。

「そんな簡単に、割りきれますか?」

「割りきれませんでしたよ。」

あっさりとそう答えた菜摘さん。

「でも、思ったんです。あのキスで、階堂さんの心を掴めなかったのは、仕方がないって。」

「はあ……すみません。」

「アハッ!どうして謝るんですか?」

そう言って菜摘さんは、急にクスクス笑い出した。

「なんか、不思議ですよね。」

「不思議?」

「はい。歳を重ねる事に、身体の相性よりも、心の相性を求めてしまう気がしませんか?」

俺はすぐにはいとは、返事ができなかった。

「何でもないキスを交わした時でさえ、心が打ち震えるような情熱を求めてしまう。」

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