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Gentle rain

第7章 心と体

「いや、知らない。だが、可笑しい事じゃないだろう。」

そこで見せた彼の薄気味悪い笑顔。

「政略結婚ですよ。相手は自分を望んでなんかいないんですよ。望んでいるのは、社長夫人と贅沢という日常。」

まるで、今まで傍にいた女が、全員そういうものだったと、言わんばかりだ。

「父親が社長、母親は社長夫人ですからね。自分も大人になったら、そういうふうになるのが、当たり前だと思っているんですよ。」

「……そうかな。」


少なくても、美雨はそんな女性じゃない。

自分の足で、しっかりと人生を歩んで行こうとしている人間だ。


「今まで染み付いた“贅沢”という文字は、なかなか消えてはくれませんからね。」


それはわかる。

社長令嬢ではなくても、今までの生活レベルを落とすのは、誰だって難しい。


「まっ。もしそういう方と結婚されるなら、割りきった方がいいですよ。」

「割り切る?」

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