テキストサイズ

Gentle rain

第3章 愛してるの基準

「だがお見かけしたところ、僕よりも随分年上の方のようですし、ここ数年で事業を始めたばかりの方ではなさそうだ。当然、僕が意見を述べたところで、あなたに敵うはずがない。」

「へえ……」

彼の人を見る力は、俺の想像を遥に越えていて、それは益々“夏目太我”という人物を浮き上がらせるのは、十分な能力だった。

「君、いくつだっけ?」

「僕ですか?20です。」

「参った。俺は君より一回りも年上だが、持ってるポテンシャルは、君の方が上だよ。」

俺はシャンパン片手に、両手を上に挙げて、降参のポーズを取った。



そのポーズが功を成したのか、夏目は会う事に、俺の傍に寄ってきてくれた。

当然、20歳の若者が語る経営方針など、どれも理想ばかりだったが、そういう熱いモノを忘れかけている俺にとっては、どれも眩しいものだった。

それ以上に驚いたのは、その若者が語る理想が、次の年には現実になっていることだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ