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Gentle rain

第8章 優しい雨

広い背中。

大人の男の人の背中。

私には計り知れない物を、たくさんたくさん背負っているのだと思うと、愛おしくなってくる。

私はそっと腕を回して、その背中を抱きしめた。

「美雨?」

「なんか、抱きしめたくなっちゃった。」


ねえ、私に何かできる事ってある?

私ね。

敦弥さんの力になりたいの。


そう思うと、余計に抱きしめる腕に、力が入る。

「あのさ。抱きしめてくれるのは嬉しいだけどさ。美雨の胸が背中に当たって、俺、とってもまずい状況なんですけど。」

「えっ?」

私はチラッと敦弥さんの前の方を見て、パッと腕を離した。

「もう!エッチ!!」

「俺が!?」

「人が真面目に考えてるのに!!」

「俺のせいのなの!?」

もう仕方ないから、シャワーの力を強くして、敦弥さんの頭の上から泡を流す。

「ありがとう。」

そう言って敦弥さんは、髪の毛を左右に振ると、そのまま湯船の中に入ってしまった。

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