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Gentle rain

第8章 優しい雨

「実はね、お兄さん。また会社の倒産の危機に迫られているんだよね。」

「えっ?」


兄さんの会社が?

どうして?

上半期は例年よりも、売上が伸びていると言っていたのに。


「信じられないって言う顔だね。そりゃあそうさ。別に兄さんの経営が悪くて倒産しようとしてるんじゃない。」

「何を言っているんですか?あなた!」

クククッと笑った三科紘文から、現実をつき付けられた。

「あいつの友人が、大物のお嬢さんと仲良しになってね。もちろん二人は結婚させられそうになった。だが、あいつの友人は、堂々と断ったんだ。」

「兄さんの、友人?」

胸がざわつく。

「階堂敦弥って言う奴さ。馬鹿な男だよ。おかげであいつはもう終わりさ。」


敦弥さんが?

敦弥さんが、終わり?


「どういうこと!?敦弥さんが終わりって、どういう事!?」

「敦弥さん?」

私はハッとして、口を塞いだ。

「もしかして、階堂敦弥を知ってるの?」

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