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Gentle rain

第9章 雨あがり

あの日―――


美雨といつも通りに別れた後、菜摘さんが神妙な顔つきで、俺の部屋に入ってきた。

「美雨さん、何か言ってた?」

「ん?何かって?」

「愛してるとか……」

俺は力が抜けた。

「そんな言葉、いつも言ってるからなぁ。」

菜摘さんに当てつけるかのように言ったのに、聞こえてきたのは、彼女の鼻をすする音だった。

「菜摘さん?」

そして彼女は、俺に泣きながらこう言った。

「美雨さん。あなたにお別れを言う為に、ここに来たのよ。」



ワカレヲ イウタメニ?



何も考えずに、気づいたら部屋を出て、エレベータのボタンを押していた。

今なら間に合う。

だが無常にも、エレベーターはなかなか最上階まで来なくて、イライラしながら何度も何度もボタンを押した。

「階堂さん!」

見かねた菜摘さんが、俺の腕を掴んだ。

「彼女の気持ちもわかってあげて。」

「美雨の気持ちって何だよ!」

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