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Gentle rain

第9章 雨あがり

やっと会社の外に出たと思ったら、いつの間にか雨が降っていた。

チャンスだと思った。

この雨ならそう遠くへは行けないはずだ。


「美雨?どこにいる?美雨!」

横から後ろまで、見える範囲をグルグル回りながら、美雨を探した。

「美雨!美雨!!」


もう気が狂いそうだった。

あんなに愛してると囁きあったのに。

あんなに二人は傍にいたのに。

たったあれだけの言葉で、俺の元を離れて行くなんて。


「美雨!どこにいるんだ!!返事をしろ!!!」

返ってこない声が、余計に俺を虚しくさせた。

「どうして……!さっきも俺の事を愛してるって言ったのに!どうしていなくなったり……するんだよ!」


ありったけの想いを口にして、俺はその場に倒れ込んだ。

胸の中に、ぽっかりと穴が開く。

もう何も考えられない。


「階堂さん……」

代わりに聞こえてきたのは、菜摘さんの声だった。

「もう帰りましょう。」

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