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Gentle rain

第9章 雨あがり

俺の足取りが早くなるのと同時に、雨足も早くなって、これはダメだと思いながら、今度は雨宿りする場所を見つけた。

ザーっという音を聞きながら、スーツについた雨粒を振り払った。


ああ、そう言えば。

夏目の家に初めて行った時も、同じ事をした。


そんな事を思い出していると、水たまりを避けて走る、誰かの足音が聞こえてきた。

その足音は、俺の隣で止まった。

スカートが見えて、その人は女性なんだとわかった。

肩にかけてあるバッグからハンカチを出そうとしていて、その女性は戸惑っていた。


しばらくはその様子を、見て見ぬ振りをしていたけれど、あまりにも長い時間、バッグの中を探しているものだから、俺はとうとう放っておけなくなった。

スーツのポケットから、黒と赤のチェック柄のハンカチを出して、改めて綺麗なハンカチを今日は持っていてよかったと思った。


「あの……よろしければ、これ使って下さい。」

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