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Gentle rain

第9章 雨あがり

真っ直ぐに見つめてくれるその瞳が、決して冗談や気を使って言ってくれている言葉ではない事を、証明してくれた。

「俺も……」

そっと美雨の頬に、手を伸ばした。

「美雨と別れてから、一緒にいたいと思った女なんていなかった。」


どんなに別れた恋人が忘れられなくても、一年も経てば気は治まるはずなのに。

俺も美雨も、お互いを忘れられずに、この時まで来てしまった。

「なあ、美雨。」

「うん。」

「もう一度、俺の側にいてくれないか。」

心臓がドキドキ言っている。


「俺が君を幸せにする。何も言わずに、俺についてきてくれ。」

美雨の目からは、涙がボロボロと零れおちて、当の本人は何度も何度も頷いていた。

「美雨。」

抱き寄せると、美雨も俺の背中に腕を回して、抱き締めてくれた。


ずっと変わらない想いが、そこにはあるように思った。

どんなに離れていても、変わらない気持ちが。

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