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Gentle rain

第3章 愛してるの基準

それから森川社長のお宅に、足を運んだのは一週間もしてからのことだった。

さすがは会社の社長をしていることだけあって、家の敷地も広い。

庭には見事な日本庭園が広がっていた。

「おう。来たか、階堂君。」

「はい。お邪魔します。」

靴を脱いですぐ側の部屋に入ると、そこには庭をパノラマで見れるような、だだっ広いリビングがあった。

「はぁ。これはすごいですね。」

呆気に取られて、そのド迫力の景色に、酔いそうになった。

「いいだろう。老いぼれの自慢の一つでね。」

「老いぼれと言うには、まだ早いでしょう。」

大きな声で笑う森川社長は、家でもこのキャラなのだろうか。

笑い終わった後、『ここに座りたまえ。』と言われて座った席は、リビングの真ん中に当たる特等席だった。

「社長。こちら、お口に合うかどうかわかりませんが。」

森川社長のペースに持っていかれる前に、俺は手土産を社長の前に差し出した。

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