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Gentle rain

第3章 愛してるの基準

「これは気を遣わせてしまったね。」

「とんでもない。」

ニコッと笑った森川社長は、中身を見ると一つの小瓶を取り出した。

「ほう。これは美味そうなピクルスだ。」

「ウィスキーのあてに、どうかなと思いまして。」

「さすがだね。」

一言そう言った社長は、奥から誰かを呼んだ。

出てきたのは、社長の奥さんにしては、あまりにも若い女性だった。

「菜摘。これを皿に盛って来てくれ。」

社長は箱から出したばかりのピクルスの小瓶を、その女性に預けた。

「はい。」

「それと棚の奥にあったジャックダニエルを、持ってきてくれ。」

その女性は、ちらっと俺を見るとその小瓶を持って、奥に引っこんでしまった。

「いい女だろ。」

「……ええ、そうですね。」

まだ正体不明の女性に、俺はお淑やかなお嬢様を重ねた。

間もなく皿にピクルスを並べて、その女性は、俺達の前に現れた。

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