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Gentle rain

第3章 愛してるの基準

同情したつもりなのに、肝心の菜摘さんは笑っている。

「階堂さんも、そうなんですか?」

やっと笑顔が戻ったかと思うと、今度は多少面倒くさい質問をしてくる。

「どうなんでしょう。一人の女性を捕まえたかと思うと、すぐに逃げられますしね。」

「階堂さんが?」

目を大きく見開く菜摘さん。

まるで俺の言う事が信じられないという表情だ。

「菜摘さんが言う通り、恋愛って難しいですね。どんなに愛し合っていても、近くにいれば燃え上がるし、離れれば冷めてしまう。」

「階堂さんって、本当に面白い方ね。」

今度の菜摘さんは、いたずらにクスクス笑いだした。

「父があなたを気に入っているのが、なぜだかわかりました。」

「それはどうも。」

そんな事に興味はないが、とりあえずお礼は言っておく。

「ああ、なんだかワクワクしてきちゃった。」

どんでもない事を言い出すなと、思った。

「どうしてですか?」

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