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Gentle rain

第4章 偶然

その真意に気づいたのは、お会計が終わって、お店の入口まで階堂さんを見送った後だった。

「それでは、気を付けてお帰り下さい。」

別々のキャンドルが入っている袋を二つ、階堂さんに手渡した。

「ありがとう。」

袋を渡す際に、階堂さんの手が私の指に触れた。

さり気無い仕草だったけれど、階堂さんに触れられた部分が、熱く感じる。

「またお待ちしています。」

頭を下げて、お店のドアを開けた。

「そうだ、美雨ちゃん。」

「はい?」

「これ、今日のお礼。」

そう言われて差し出されたのは、さっき渡したプレゼントの袋だった。

「こっちがグレープフルーツだったね。」

階堂さんは袋の中身を見て、シールが貼っていない方を選んだ。

「そんな!受取れません!」

「どうして?」

「私は店員として、当たり前の事をしただけですから。」

必死に手を左右に振った。

「言ったろ?若い女の子にプレゼントするんだって。」

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