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Gentle rain

第4章 偶然

「隠す事なんてないわ。さっきのお客様に頂いたんでしょ?」

工藤さんは驚きもせずに、その事実を言い当てた。

「はい。」

そこまで知っているのなら、言い逃れなんてできない。

「気を付けなさい。」

だが、工藤さんの以外な言葉に、私は顔を上げた。

「お客様に本気になったら、後で泣くのは夏目さんの方よ。」

思いがけないセリフに、なんて返したらいいかわからない。

まるで以前に、工藤さんが同じ体験をしたかのようなものだったからだ。

「ね。」

相変わらずの優しい口調に、やっと私は「はい。」と返事をする事ができた。

在庫チェックが終わったのか、工藤さんはそのまま、レジの方へと行ってしまった。

お客様からのプレゼントを、成り行きとは言え、受け取ってしまった自分が、店員として失格のような気がした。

心が重い。

そのせいか、目線は床へと落ちてしまう。

「あら?」

床の片隅に、何か落ちているのを、私は見つけた。

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