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Gentle rain

第5章 初めての夜

どういうことだ?

森川社長のご令嬢の誕生日に、誰もプレゼントの一つも持って来ていない?

「森川社長からの連絡で、『プレゼントは持ってくるな』とあったんです。」

しまったと思った。

俺にはそんな連絡等、一切入っていなかった。

森川社長の策略に、まんまと騙された。

「どちらにしても、階堂社長と菜摘さん、お似合いですよ。」

「いや……」

「いつか、僕もあなたにように、いい女を相手にできるような男になります。それじゃ、おやすみなさい。」

軽くお辞儀をして、田辺君は行ってしまった。

気づいた時には、大抵の出席者は家路についていた。

俺は一人、背中にあるプレゼント持て余していた。

さて、どうする?

これを菜摘さんに渡したら、大変な誤解を生むぞ。

そうだ。

知らない振りをして、持って帰ろうか。

その時だ。

「階堂さん。」

今一番、気づかれる事がまずい人の声がした。

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