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Gentle rain

第5章 初めての夜

翌日は、朝から仕事に手がつかなかった。

原因は、今日の夜の美雨ちゃんとの約束と、昨日の夜の菜摘さんとのキスだ。

落し物をわざわざ届けてくれたと言うのに、俺を避けている美雨ちゃん。

その彼女と、やっと会う約束をしたと言うのに、なぜ俺は、昨日の夜、菜摘さんにあんな事をしてしまったのか。

どうせ、あの鈍い反応だ。

おそらく、彼女は俺との約束等すっぽかすに違いないと思ったのか。

それとも、あのパーティーの夜、周りの男どもが“高嶺の花”だと騒いでいる女性が、俺に気がある事に気づいて、自分が優位に立ちたいと思ったからなのか。

いずれにしても、今までと変わらない。

刺激や不確かな恋愛でなければ、満足しないと言う、俺の気まぐれな性格が生む結果だ。

そんな時だ。

携帯がブルブル震える。

手に取ると、メールが届いていた。

差出人は、菜摘さんだった。


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