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Gentle rain

第5章 初めての夜

その胸騒ぎを引きづりながら、時間は夜へとなった。

18時、19時と時間は過ぎ去り、遂には20時も回ってしまった。

美雨ちゃんは、まだ来ない。

元はと言えば、俺が強引に言ったことだ。

しかも、彼女は『行きます。』と返事はしていない。

もう、来ないだろう。

俺はそう確信し、帰る準備を始めた。

無機質にスケジュール帳をカバンの中に入れ、上着を羽織った時だ。

ふとドアの向こうに目を向けると、誰かの靴音が聞こえる。

しかも、近づいては遠のき、遠のいては近づいている。

ここに来る事を迷っている?

俺は、靴音が遠のいている時に、勢いよくドアを開けた。

廊下の向こう側で振り向いたのは、紛れもなく夏目の妹。

彼女だった。

「あの、私……」

とても困った表情を見せる彼女。

「バイトが長引いてしまって、階堂さんはもう待ってはいないと思ったのに…」

オロオロと言い訳を始める彼女。

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