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Gentle rain

第5章 初めての夜

相手との食事が楽しくなれば楽しくなる程、その時間はあっという間に過ぎて行く。

気づけば、夜の10時をまわっていた。

「もうこんな時間か。明日は授業あるの?」

「いいえ。明日はないです。」

「平日なのに?」

「2年生までの間で、ほとんど単位取ってしまって。授業はあまりないんです。」

ふふふっと笑った彼女の話を、もっと聞きたいと思ったけれど、なぜだろう。

ずっとここにいては、いけないような気がした。

「出ようか。」

「はい。」

もう終わりか。

残念な気持ちよりも、寂しい気持ちが勝るのは、なぜなんだろう。

少なくても、こんな感情は初めての経験だった。

「美雨ちゃん、先に行って。俺、お金払ってから行くから。」

「あっ、それなら私も……」

付いてこようとした彼女の頭を、財布で軽く叩いた。

「女の子は、お会計の時一緒にいないの。」

「でも……」

「でも何?」

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