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Gentle rain

第5章 初めての夜

「上?」

「そう!」

彼女にもっと奇麗な花火を見せてあげたい。

そんな気持ちのせいか、また心が浮かれてきた。

「ちょっと待ってて。」

俺は彼女をその場に置いて、ホテルのフロントに小走りで向かった。

「すみません。最上階の部屋、どこか空いてますか?」

「お待ち下さいませ。」

フロントの係りの人が、部屋を探している間、俺はフロントのカウンターを指でトントンと叩く。

「お待たせしました。最上階のお部屋ですと、スイートルームになりますが、よろしいですか?」

「ああ、いいよ。」

「かしこまりました。ただ今ご用意いたします。」

多少値段は張るかもしれないけれど、いいじゃないか。

「どうぞ。最上階、正面のお部屋になります。」

「ありがとう。」

俺はフロントの人に、軽く挨拶をして、彼女の待つ場所へと急いだ。

「美雨ちゃん。」

「階堂さん、どこへ行ってたんですか?」

「いいから、こっちこっち。」

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