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同じ空の下で

第17章 もう一度

そこで、一人の先輩に呼ばれた



その人は私よりも一回り以上も歳上で

会うたびに私に向かって

『お嫁においで~』なんて

ふざけているようなことを言う


ある種セクハラ紛いのこんな言葉も

普段の仕事中の彼を知ってるから

嫌な感じはしなくて


ただ、また言ってる…くらいに流していた


同じ部署の人達からも、他の部署の人達からも

仕事面でも、人柄的にも

とても人気のある人だった


若い頃に奥様を病気で亡くして

それから、浮いた話はなくて

奥様を愛し続けているからだって

そんな噂があった



明るくて、優しくて

いつも穏やかで

ちょっとふざけた人…


それが彼に対する私の印象


私がその部署に行ったときも

時間があれば一緒に子供と遊んだりしていた


そんな中

その日、彼は帰りがけの私を呼んで


明日来たとき、話があるから…と言った




今まで感じたことのない雰囲気

にこりともせず

おどけた感じは全く無くて

怖いくらいの険しい顔で



でも

真っ直ぐに私を見て

噛み締めるようにそう言った

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