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同じ空の下で

第17章 もう一度

何も言わない私に向かって

彼は亡くなった奥さんの事を話し出した


噂は色々耳にしてた…


彼は自分が救わなければいけない命だったのに

一番大切な人を救えなかったことを

そのことを悔やんでも悔やみきれず

ずっと夢に見る…と話した






最後に、彼は

『生きている、その事だけで、人を幸せな気持ちに出来ることがあるんだよ。』


そう言った


『貴女が居なくなるようなことがあったら、僕は凄く悲しいし、助けてあげられなかったことを一生後悔し続ける』


そうも言った




…自分一人の命だから

誰にもそんな風に思ってもらっているとは思わなかった


そしてさらに続けた


『2年以上前からずっとアプローチしてるのに、全く気にしてくれないんだもんなぁ…』

と。




浮き沈みがある私をずっと見ててくれて

そして

気づいてくれた



何も言葉は出てこなくて

涙だけがあとからあとから溢れて


そんな私を見て

彼は、少しだけいつもの彼に戻って


少しいたずらっぽい笑顔で

私の頭をポンポンっと叩いた




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