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同じ空の下で

第24章 衣装ケースを

どのくらいの時間をかけて全てを出してみたのかわからないけど

途中からやっぱり泣いてしまって…

それでも

彼に話したいことは

あとからあとから沸いてきて


たった衣装ケース1つ分なのに

そこに寄せる想いは

それこそ果てしなくて


優しい表情で見届けてくれる彼に甘えて

思い付くまま沢山の事を話しました



私よりも7つ歳上の兄は

私の記憶の中では亡くなった時のままなので


そうすると、今の私は兄の歳を越えてしまっていて

でもやっぱり私は妹で


うまく言えないけど


こうやって兄の歳を越えて

そのうちにきっと両親の歳も越えて


それが生き続けていることなんだな…と

当たり前だけど

そんな風に思いました


それが、とても不思議で辛くて切なくて


そして今は

幸せなことなんだと



辛いけど

探し続けた生きる意味を

見つけていけそうな気がしました


全部を出し終えて

それらを眺めながら

二人でコーヒーを飲む、

穏やかで静かでほっこりした時間が


とても愛しく、幸せで

いつの間にか涙は止まり

懐かしさと感謝と

とても満たされた気持ちになって



幾度となく見てきた宝物を

いつもとはちょっと違う…

暖かな想いで見ることができました

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