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同じ空の下で

第24章 衣装ケースを

しばらく穏やかな時間が流れたあと

またそれらを一つ一つ片付けました


洋服をたたみ

食器類は新しい紙に包んで


もう何回もそうしてきたように


いれる順番も

心得たもので

整然と入れていきました




全てを片付けるのを見守っていてくれた彼が

『全部をしまわずに、1つでも次まで傍に置いたらどう?』

と言って…


今までは

一人の時にはそれは無理だったから


でも、そう言われて、そうしてみようかと思って


またそれから悩みに悩んで


1つだけ、いつも目につくところに置くことにしました



今は特別なお仏壇は無くて

遺影と位牌は低めのチェストの上にあります

お水とお茶とコーヒーを供えるのが毎朝の日課で

それから小さな花を

菊ではなくて

お祝いに送るような可愛い花を

欠かさないようにしています


その横に

鏡を置きました


兄が母に送った鏡


周りがタイルで縁取りされてて

スタンド型の鏡


黄緑、水色、オレンジの三色の

小さいタイルのモザイクの飾りは

優しい色で

新緑のこの季節を切り取ったよう



次にまた衣装ケースを開けたら

その時はまた宝物を傍に置く…


そんな新しい楽しみもできて


本当に幸せな気持ち




私にも春色、続くといいな








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