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スキをちょうだい。

第1章 ひみつ


 熱い熱い、息を吐く。

 そこにはきっと、気恥ずかしくて言えない言葉が混ざっている。

 それらだけでは表せない心も。

 甘い甘い、印が残る。
 首筋に、腹に、背中にーー体中。

 だけど、その分だけ求められている訳じゃない。

 知ってる。
 痛いくらいに知ってる。

 だって、君には「スキ」な人がいるから。
 「スキ」な人と愛し合っているから。


 でも、だからだろうか。

 こうして君にイジメられている時間が、ものすごく幸せに感じる。

 背徳感がおかしな悦びに火をつけているのだ。

 君がみせる表情に、あの子も魅せられているのだろうけど。

 君がくれる全ては、あの子へのものよりも少ないのだろうけど。

 構わない。
 都合のいい奴で構わない。

 だって、この状況は、自分自身のくだらない自尊心が作ってしまったものだから。

 嗚呼、だけど、だけどーー思ってしまう。


 君からの「スキ」が欲しいな…‥って。

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