
スキをちょうだい。
第3章 言葉では伝わらないから
「わかった。じゃあ、航太がしてほしいことしてあげるから、許して」
ね? と、顔をのぞきこまれた航太は、すぐにそっぽを向いて、吐き捨てる。
「してほしいことなんかない」
「本当に?」
「本当に」
「エッチしてほしくないの?」
唐突な単語に、思わず航太は環の方を振り向いて、相手を睨みつけた。
「ふざけるタイミングじゃねーぞ」
「真面目なんだけどな」
再び、沈黙が降りる。
今度は航太がそれを破った。
「そっちがシたいだけだろ」
「そうだよ」
環は即答して、航太の頬に軽く触れる。
「航太のこと、めちゃくちゃにしたい」
まっすぐに目を見て言われ、あっけなく理性が揺れてしまい、航太は相手から視線を外しながら、後ずさる。
もちろん、表面上は気がないふりをして。
「梨恵ちゃん誘えよ。オレは気分じゃない」
しかし、環の方が一枚上手であった。
彼は航太の腕を掴んで、一気に自分の方へ引き寄せる。
「誘うなんて、紳士じゃないじゃん?」
息が触れるほどの距離。
航太は必死で意識を保とうと、言葉を紡ぐ。
「…‥オレの前でも紳士でいろよ」
「だって、航太はエムだから、強引の方がクるでしょ?」
「誰が…‥っ」
先は塞がれて、航太はなすがまま、床に組み敷かれる。
「ほら。もう受け入れてる」
唇を離した環は、そう言って愉しそうに微笑んだ。
