テキストサイズ

スキをちょうだい。

第7章 特別なひと


 相手の名を呼び、愛おしそうな瞳を向けて、言う。

「俺は航太とトモダチなんて嫌だ。特別でいたいんだ」

 それは、航太が遮った言葉の続きだった。

 嘘を言っていないことは、彼の表情を見れば分かる。

 『あの言葉』の次に、聞くことを望んでいた。

 自分自身も、心に強く抱いていた。

「オレたちは、同じこと思ってたんだな」

 航太は、力の抜けた笑顔を浮かべた。

 環も穏やかに笑って、そっと顔を近づける。

「航太ーー」

 言いかけた唇を、航太は人差し指で塞いだ。

 見つめてくる環に、彼はいたずらっ子のように言った。

「全部、終わってから聞かせて?」


 そう。まだ事件は終わっていないのだ。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ