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秘密のアルバイト

第12章 おかしな雅紀

智の事は嫌いじゃないし・・・

じゃあ彼氏なのか彼女なのかわかんないけど、智と付き合う?

いやいや、でも付き合うまでのテンションじゃあないし。

実は俺、好きな人がいるんです・・・
なんて嘘でもついて、ことわろうかな。


・・・好きな人?

どうしてこういう事を考えるとき、いつも潤の事を思い出すんだろう。


「最近LINEもこないし、どうしてるんだろう。
もう俺の事なんて、忘れちゃったのかな」


携帯を握ったまま、テーブルにうつ伏せた。


「かず、お待たせ。ほら、起きなよ」


疲れてうとうとしていると、体を揺らされて雅紀に起こされた。


「あっ、ごめんごめん。
ついついウトウトしちゃったよ」

「かず、もう注文した?」

「まだだよ、雅紀が来るのを待ってた」

「待っててくれたの!嬉しいなぁ」

「嬉しいって・・・いつもの事だろ」

「そっ、そうだね。
かずはハンバーグでしょ?
今日俺も、かずと同じものにしようかな」


変な奴だな・・・

そんな事を思いながら、同じものを2つ注文した。


「急に電話したけど、大丈夫だったか?」

「全然平気だよ。
かずから電話もらって、断るわけないでしょ。
かずこそ急にかけてきて、どうしたの?」

「うん・・・家に帰ってご飯の仕度するの、面倒くさくなっちゃってさ」

「何、面倒くさいなんて・・・
言えば俺、作りに行ってやったのに。
どこか行ってたの?」


ドキッ‼


「朝からちょっと・・・出掛けてて・・・」

「朝からずっと何してたの?」

「あの・・・今日バイト・・・だったんだ。
で、この時間になっちゃって」


さっきまで明るかった雅紀の表情が、急に暗くなった。


「どうした雅紀?
急に暗い顔になったけど、気分でも悪いのか?」


うつ向く雅紀。

しばらくして顔をあげ、俺をじっと見つめた。



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