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秘密のアルバイト

第17章 ごめんね

「かずどうしたの、こんなにも痩せちゃって。
・・・雅紀、かずに何したの?」

「ねぇかず、何でお兄さんなの?
何で、何で俺じゃだめなの?」


雅紀の声が震えていた。

俺は雅紀に脱がされた服を着直した。


「あの時俺が一緒に出掛けていれば、かずがこんな仕事することはなかったんだ。お兄さんと出会うこともなかった。いつまでも俺はかずと一緒、俺だけのかずでいたんだ」


床に雅紀の涙がこぼれ落ちた。


「潤に出会ってなくても、俺は雅紀のものにはなってないよ」

「かず・・・何で?」

「お前は子供の頃からずっと一緒にいた幼馴染み、一番の友達。
それ以上でもそれ以下でもない。
でも今は、少しお前とは距離をおきたい」

「どうしたら・・・どうしたらいいの?
どうしたらまたかずと一緒にいられるようになるのかな?」

「それは自分で考えろよ。
それまでは部屋の鍵、返して」

「えっ⁉・・・かず・・・」


驚く雅紀。
そしてすぐに、悲しそうな表情を見せた。

鍵を外し、立ち上がりテーブルの上に置いた。

玄関へ行き、靴を履く雅紀。


「その鍵、また預かれる日が来るかな?」

「そうだな、くるといいね」


そのまま振り返らず、雅紀は部屋を出ていった。

キッチンから部屋に行こうと立ち上がると、またフラついて壁にドンッ!とぶつかった。


「かず・・・」


名前を呼ばれると、フワッと体が浮いた。
潤抱き抱えられ、ベッドまで連れていってもらった。


「かずこんなにも軽かったかな?」


ベッドにそっと寝かされた。






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