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秘密のアルバイト

第23章 バイト復帰

潤、この人にコクられてたんだ・・・


「フラれても、僕は彼のファンだからね。
じゃあ、ごゆっくりお買い物してくださいね」


俺には敵わない・・・っか。
何かちょっと嬉しかったりして。


「かず、決まった?」

「うぅん、今日は別に・・・
俺ちょっと本屋に行きたいんだけど・・・いい?」

「じゃあ、俺ちょっと行きたいところがあるから、本屋で待ってて。
終わったらすぐ行くから」

「うん、わかった」


一緒に買い物って言ったのに、別行動?
まっ、いっか。

本屋で参考書やらを立ち読みしてると、俺と同じ年くらいの男の人が近づいてきた。


「あの~すみません・・・和也君ですよね」

「えっ⁉」

「あっ、やっぱりそうだ、和也君だ」


初めて櫻井に会った時の事を思い出して、思わずドキッとした。

でもその男の人はやたら回りを気にして、キョロキョロしていて声も小声。

おれも何だかあのときのように逃げようとは思わなかった。


「あぁ、はいそうですけど・・・」

「嬉しい!僕君のファンなんです。
あの、よかったら握手してもらってもいいですか?」

「いいですよ」


俺は手を差しのべた。


「わぁ、嬉しい・・・ありがとうございました。
これからも頑張って下さいね」


その人は俺に頭を下げ、嬉しそうに去って行った。

今では普通に話せる櫻井。

でもコンビニで初めて声をかけられたときは、どうして逃げたりしたんだろう?


「心境の変化・・・てやつかな?
でも何が変わったのかなぁ・・・まっ、いっか」

「かず、お待たせ。行こうか」


俺を迎えに来た潤は、紙の手提げ袋を手にしていた。


「うん・・・何買ってきての?」

「ちょっとね」


何ニヤニヤしてるんだろう?




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