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秘密のアルバイト

第25章 仲直りのご褒美

雅紀を見送りドアを閉め、鍵をかける潤。

ソファに向かい歩きだした。
雅紀を許したら、正直少し気持ちが楽になった。
やっぱ心の底から嫌いになることはできないらしい。

そんな事を考えていると、潤に後ろから抱き締められた。


「かず・・・」


俺は潤の腕からスルッと抜け出した。
何か素直に受け入れられなかった。


「どうしたの、かず」

「いや・・・別に・・・。
あっ、そう言えばこれ、社長から預かってきたんだけど・・・はいっ」


潤に渡し、ソファに座った。


「何だ?・・・あぁ、これね・・・ありがとう。
で、何をかずはすねてるの?」


中身を取り出しながら、俺に問いかける。


「別にすねてなんかないもん」

「そうかな?俺にはかずがかまって欲しくて、すねているように見えるんだけどなぁ。
あっ、これこれ。これ本当に効果あるのかな?」

「別にかまって欲しくてすねてるわけじゃないもん」


潤にちょっと目を向けると、さっき渡した袋から取り出した可愛い小瓶を手にしていた。


「潤、何それ?」

「あぁこれ?
ストレスがなくなるんだって。ちょっと匂ってみて」


鼻をゆっくりと近づけた。


「大きく鼻で息をすってごらん。
どお?いい匂いする?」


ゆっくり大きく吸い込んだ。
でもそんなにいい匂いでは・・・ない。


「そんなにいい匂いではないなぁ。
ちょっと匂いキツいかな」

「何だ、そうか・・・」


潤はその小瓶を箱にまたしまった。

それからしばらく俺は黙っていた。
潤もただ黙って俺の事をじっと見ていた。


・・・あれ、どうしたんだ?
何か急に心臓がドキドキしてきたんだけど。
体も何だか熱くなってきた。


「はぁ・はぁ・はぁ・・・」


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