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秘密のアルバイト

第32章 慰安旅行?その2

次の日、目が覚めると俺は智の腕の中にすっぽりとおさまっていた。
智は既に起きていて、ずっと俺の頭と顔を撫でていた。


「ん・・・あっ、智おはよう。
ごめん、ずっと腕痛かったでしょ?」

「おはようかず。全然痛くないよ、大丈夫。
かずとこんな風に過ごせるなんて嬉しいよ」


キスをした。
撮影以外で智とキスをするのは初めて。
何かキスだけなのに、浮気をした気分。


「何かかず、知らない間に凄く色っぽくなったと言うか、自分で“かず”何て言うから、ドキドキしちゃったよ」

「いやぁ、場の空気と言うか・・・ねぇ」

「かずが可愛く、色っぽくした彼氏って凄いよな。
どんな人か会ってみたいよ」


会ってますよ。
会ってると言うか、あなたの友達であり、モデル仲間の潤ですよ。
言えるわけないけど・・・


「朝食までに時間あるから、朝風呂にでも行こうか。
かずとこんな風に過ごせることなんて、次はいつになるかわからないしね」


何だろうこの気持ち。
俺の事こんなに思ってくれてるなんて、何だか申し訳ない気持ち。


「智・・・何か、ごめんね」

「どうしたかず、謝ったりして」

「なんと言うか・・・
俺の事思ってくれてるのに俺、智の気持ちに答えられなくて・・・」

「いいよ。
大学で会うこともできるし、たまに一緒に仕事もできるからそれで俺は十分だよ」

「俺なんかより、もっともっと可愛い子いっぱいいるからさ」

「なになに、慰めてるつもり?
気にしなくていいよ。
さっ、朝風呂行こ・・・あっ」


智の首に手をまわし、俺からキスをした。


「・・・かず?こんな事して・・・どうしたの?
俺、勘違いしちゃうよ」

「さぁさぁ智、お風呂行こっ!」


これが俺にできる精一杯のことだった。

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