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ノンフィクション

第1章  序章


運命は、何の前触れも無くやってくる……
それは偶然なのか必然なのかその答を知る者は誰も居ない………


これはある一人の青年の物語である。



「今日はいつもよりあちぃなぁ…」
俺は青空を見上げ、夏の日差しに目を細めながら思わず呟いてしまった。

青春とはよく言ったものだ。
俺は今年17歳になるが、1度足りとも青春と言えることをしたことがない。
まぁ、仕方ないだろう。
元々俺には友達が少ない。いや、居ないと言った方が正しい。
友人など、俺には必要ない。だが時たま思うことがある。
親しい友やガールフレンドを作ったとしてメリットはあるのだろうか?
むしろ俺はデメリットしかないと思う。
なぜなら親しい友や仲間は裏切る。ガールフレンドは我が儘、横暴、おまけにすぐ愚痴る。一体何のメリットがあるだろう。女というのはよく分からない種族だ。

??「おはよう!遠矢!」

俺の後ろから声を掛けてきたのは幼馴染みの桐谷優子だった。
そういえばこいつが居たな

遠矢「なんだ桐谷か、今日も相変わらずで何よりだ。」

桐谷「なんだとは何よ!せっかく久し振りに会ったっていうのに最初の言葉がそれ!?」

全く…鬱陶しさも相変わらずだな…こいつ

遠矢「はいはい、悪かった。これでいいだろ?」

桐谷「はぁ…反省する気ゼロね…あんた…そういうとこちっとも変わってないんだから。」

変わってないのはお互い様だろ。
こいつはともかく俺は変わる理由がない。そもそも変えたくもない。

桐谷「それより夏休みどうだった?」

遠矢「夏休みの課題がいい暇潰しになったよ。俺は引きこもり生活をエンジョイした!」

桐谷「つまり一ヶ月丸々家に居たわけね……」

遠矢「その通り!あれほど素晴らしい時間は無かった!この一ヶ月で俺は更に大きく成長を遂げた!!はっはっはっ!」

桐谷「あんたって何でいつもそう残念なの……」

遠矢「そういうお前は何してたんだよ?」

桐谷「私は………」

桐谷がためらった表情でこう答えた。

桐谷「なっ…何も……」

遠矢「はぁ?」

桐谷「何もしてなかったわよ!!バカ!」

そう言うと桐谷は走って行ってしまった。
結局は同じ穴のムジナだな……
いつもより残念そうな顔を浮かべていた。
ホントに女というのは分からない。

こうして高校2年の2学期が始まった。

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