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ノンフィクション

第1章  序章



楽しい一時は過ぎ、皆で夕食を食べた後、俺のあの力についてシンが聞いてきた。

シン「春人、その……気を悪くしないで聞いてくれるか?」

遠矢「どうしたんだ?かしこまっちゃって」

シン「いや、その……お前のあのとてつもない力は一体何なのかと思ってな。」

俺は桐谷と目を合わせた。桐谷も気になっているようだ。仕方ないな。

遠矢「はぁ……やっぱり隠し通せるもんでもないか」

シン「話したくないのなら別に構わんぞ」

んじゃ、お言葉に甘えて……って言いたいとこだが今回ばかりは無理だ。

遠矢「いや、ここに居る皆に世話になったからな、話すよ。」

シン「うむ」

俺はこの世界に来たいきさつを全て話した。あの会場での出来事、桐谷の親父さんの事、このゲームの事、そして、欺龍と佐伯の事………
やっぱり二人とも驚いているようだ。
無理もないか。

八神「それじゃあ、その佐伯って人を見つけない限り私達はこの世界から脱出出来ないってこと?」

桐谷「そうよ、黙っていてごめんなさい。二人を信用出来るようになってから話そうと思っていたの」

シン「なんて事だ、佐伯ってやつは相当のワルだな」

遠矢「ああ、八神からの情報で佐伯がエルマの街に居るかもしれないと聞いて俺達はここに来たってわけだ。」

シン「なるほど、三日間前のあの力は欺龍の力だったって事か」

遠矢「恐らくな」

シン「凄まじい力だった」

八神「でも、その力はあまり使わない方がよろしいのでは?」

遠矢「俺も出来れば使いたくなかったさ、でも、一度使ってしまった以上、俺はこいつに蝕まれるだろう。」

桐谷「遠矢………」

遠矢「なぁに、心配すんなって。こいつに殺される前にゲームクリアすれば問題無し!毎日ネトゲしてるような俺だぜ?そう簡単には死なねぇよ」

皆にはそう言ったものの、俺には分かっていた。使ったからこそ分かる。次にこいつを使えば完全に自分を失ってしまうことを………



翌日、俺達一行はエルマに向かうため出発の準備をしていた。

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