保健室の扉の向こう
第1章 優しさに囚われて
どんどん名前を言っていく。
流石に、顔と名前が一致するのは難しいかもしれない。1クラス30は簡単に超えているし。
でも、一人だけなんか雰囲気がすごい子がいた。
「華川ユズといいます。好きなものは、名前と同じで柚ですかね。よろしくお願いします」
可憐な雰囲気。
誰も近づけないような美貌をお持ちでいて…私も話しかけられない感じであった。
まあ、私立の学校だから誰がいようと可笑しくはない。お金持ちの子もいれば、受験の滑り止めだったこもいるはず。
でも彼女はきっと金持ちの子だな、なんて思ってしまった。
なんだか、いじめられそう。
既に私は勘付いていた。