保健室の扉の向こう
第5章 黒
「ば、ばれたらどうするんですか…!」
「いいじゃん。別に」
私は、先生みたいに堂々なんかできなくて、照れているその顔を隠しながら長い廊下を歩いた。
「文化祭さ、俺たち一緒だよね。何すればいいの?」
「それは、私よりも先輩の先生が知っていることじゃないんですか…!」
「えー、俺話聞いてないよ」
私は、驚いて顔を上げてしまった。すると、先生も驚いた顔してて見つめ合ってしまった。
ドキドキ、胸がうるさいし…苦しい。
「だって、ずっと雪ちゃんのこと…「せんせ…!!!」
先生の話している途中で後ろから、華川ユズが息を切らしながら叫んだ。
「あ、ユズちゃん」
繋いでいた手がプチンと糸が切れるかのように離れた。