保健室の扉の向こう
第5章 黒
「せんせ…!今日約束してたじゃないですか!!」
彼女は怒っているのかわからない。表情が表にでないのだ。ただ、いつもより殺気を感じていた。
そのうちにどんどん迫ってきて、先生にぴたりとくっついてしまった。
「ね、先生…言ったでしょ。…生で…」
思わず顔を下げてしまった。
女子高生が何を言っているの…。確かに格好いい先生だから好きになる気持ちはわかるけど…。
「あぁ…そういえばそうだったね」
一歩下がってしまった私。完全に先生の顔が見えない。
私も今どんな顔しているのかわからない。
「てか、成田先生?」
ビクッと身体が勝手に反応した。