保健室の扉の向こう
第6章 白
――そう言えば、さっき眼鏡掛けてたっけ?
そんなこと考えて、気を逸らそうとしたけれど、
「雪ちゃん」
って呼ばれて、簡単に返事しちゃって。
自分が愛しすぎてて怖いくらいだ。ただの片思いなのに。
「入ってもいい?」
「…どうぞ」
かっちりとした眼鏡はかけてあった。そして、謝ってきた。
「ごめん…。イライラしてさ」
「大丈夫…です」
「薬飲んだの?」
「いや、あの食事しないとお腹に穴が開くってちっちゃい時から言われてて…」
そう言うとプッと吹いた。
「なんだ、そんなことでか…」