保健室の扉の向こう
第7章 偽り
ノックを静かに叩くと少女の声ではない返事が聞こえた。
「失礼します。副担任の」
「どうなってんのよ!!!」
そう声を荒らげたのは
「華川さん…」
「どういうことよ!…妊娠って」
「ユズっ!」
ベッドから這い出ようとしたユズを止めたのはユズの母のようだ。
妊娠は本当のようだった。
「…すみません」
「…もう中絶できない」
「…!?」
どういうこと…。
「ユズのお腹の子は既に3ヵ月経ってます。体に負担があるので中絶は難しいと言われて…」
私から顔を背けて、そういった母親。
私は、もう何もできない状況になっていた。